第72期ALSOK杯王将戦七番勝負第4局の感想

第72期ALSOK杯王将戦七番勝負の第4局が、2月9日(木)、10日(金)東京で行われました。

羽生善治九段は貴重な先手番で、勝ってタイに戻したいところ。作戦の選択は相手の藤井聡太王将のエース戦法、角換わり腰掛銀でした。最近のプロ棋界では、角換わり腰掛銀の整備が進み、大分先手が指しやすいと見られているようです。したがって、プロ的には避ける理由がないともいえるのですが、藤井王将相手に真正面から研究勝負に行くのは、年齢差を考えても、大変なことで、攻めの姿勢を感じます。

後手藤井王将は、この戦型定番の手待ち。玉移動と飛車の位置取りで手数の調節がきくので先手が指しやすいというこというのが、現在の評価のようですが、羽生九段は、金を寄せていわゆる天野矢倉に組み直しました。珍しい構想です。

藤井王将の封じ手がやや疑問だった可能性があります。事実上の二択の内、すぐにと金を作らせる変化は、後手からも攻勢が取れるので、先手にとっても大変なプレッシャーです。感想戦でも羽生九段が苦戦する局面が多かったようです。ただ、藤井王将の感覚では、持ち歩を吐き出してしまうので息切れになりそうということでした。

本譜の後手は、攻めを受けて止めてから、反撃を伺う方針。腹をくくって我慢の展開です。しかし羽生九段の猛攻が厳しく、そのまま受けなしになりました。これでスコアは2勝2敗。ここまで、すべて先手勝となっており、同様に進めば、フルセットにもつれ込みます。第7局はもう一度振り駒になるので、どちらが先手を握るのか、ここも大きな勝負になりそうです。

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