小山怜央さん棋士編入試験五番勝負第3局の感想

1月20日に、小山怜央さんの棋士編入試験第3局が行われました。
これまでの成績は小山さんの2-0、この対局に勝てば、小山さんの棋士編入が決まります。

今回の試験官、狩山幹生四段は現在のプロ棋界には珍しいほどの「受けつぶし」タイプです。普通にいけば曲線的なねじり合いになりそうです。

お互いに雁木から中住まいに構え、角交換から地下鉄飛車になりました。最も汎用性のある優秀な形ですが、ほぼ先後同型になっているため、簡単には仕掛けられません。先に攻めたら有利なようでも、駒を渡せば、反動があります。双方小刻みに組み替えを行ってタイミングを見計らいます。後手の小山さんは、千日手でもよく、あまり苦にならない展開だと思います。

狩山四段がツノ銀雁木から二枚銀雁木に組み替えたのが参考になる構想。4筋を軽くして飛車回りからの攻めを見せ、47角と打ったりする筋も生じて攻撃的です。

ただ、その後は桂交換で切れた歩をまた打ち直していました。こういう手は安易にまねをするべきではなく、具体的な読みの裏付けが必要になります。相手のどんな手を防いだのか、そこで我慢した代償は何か、などです。

そこから双方8筋と2筋を押し込み、自陣桂を打って中央の押し合いです。自陣付近に角を据えるのも同じような狙い。ただ、先手には二枚銀雁木への組みかえがあったので、微妙な形の違いがあります。

非常に難解な将棋で、盤全体を使った見ごたえのある応酬が続きましたが、後手の捌きに対し、先手は桂を巧みに配置して抑え込み、中央から押し潰してしまいました。

これで小山さんは2-1になり、プロ資格を得るためにはあと2局で1勝ということになりました。本局は狩山四段が、実力をいかんなく発揮した形になりましたが、小山さんの内容も決して悪くはなく、次の対局にも期待がかかります。

次の第4局の試験官は横山友紀四段で、2月に行われます。

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