第72期ALSOK杯王将戦七番勝負第2局の感想

藤井聡太王将に羽生善治九段がタイトル通算100期をかけて挑戦する、第72期ALSOK杯王将戦七番勝負の第2局が、1月21日(土)、22日(日)に高槻市の「摂津峡花の里温泉山水館」で行われました。

羽生九段の先手で相掛かりになりました。藤井王将得意の角換わり腰掛銀を避ける方針でしょうか。かつての羽生九段は相手の得意戦法に飛び込む姿勢で有名でしたが、今回のシリーズは勝負に徹し、自分の土俵に引きずりこもうとしているようです。

藤井王将は飛車先交換に反応して持ち角を手放しました。飛車をいじめて、先手を攻めを制限し、自分だけスムーズに右側の駒を活用しようという狙いでしょう。前例もあるようです。
羽生九段は、端に角を打って盤上の角を消しました。見えづらい筋だと思います。
そして端歩を突き捨ててじっと飛車の位置をもどしました。局面が複雑化し、しかも端攻めがあるので、じっくりとした流れにならなくなりました。

そこから飛車交換に進みます。双方中住まいで金銀の配置も似ていますが、左桂の位置に差があり、角を手放しているかどうかの差もあります。

封じ手直前、羽生九段に奇手がでます。玉の反対側に金打ち。異筋ですが、連携のいい金銀を崩す狙いがあり、薄い後手玉は対応に苦慮するところです。後手は自陣角の受けが有力だったようで、藤井王将も見えていたようですが、それでは見こみが薄いと見て、一直線の攻め合いを選びました。

最終盤は非常に難解。範囲は狭いですが、先手負けの変化も多く、本当に全部読み切らないといけません。羽生九段は1時間を余して読み切りました。
 
これで1-1になりました。羽生九段本来の持ち味である視野の広さが存分に出ていると思います。

次は羽生九段の後手番です。もう一度一手損角換わりを採用するどうかが焦点になるでしょう。

タイトルとURLをコピーしました