第72期ALSOK杯王将戦七番勝負第1局の感想

藤井聡太王将に羽生善治九段がタイトル通算100期をかけて挑戦する、第72期ALSOK杯王将戦七番勝負の第1局が、1月8日(日)、9日(月祝)に静岡県掛川市の「掛川城・二の丸茶室」で行われました。

作戦は羽生九段の一手損角換わり。これは羽生九段の近年の得意戦法といってよく。2019年には頃はこの戦法を採用した対局では全勝を記録しています。
後手番からのスタートということで、最強の手段を持ってきた感があります。

前例のある形から羽生九段の研究局面へ。後手番で想定局面へ誘導できたのは大きく、形勢も十分戦えそうに見えましたが、じりじりと藤井王将に形勢が傾いていき、終わってみれば大差でした。羽生九段も「何が悪かったのか、調べてみないとわからない」とのことでした。

この一手損角換わりという戦型自体、単純な手損からスタートするという、本来の棋理に反した要素を持っています、それを「当然、不利の結論になるはず」と見るか、それとも、「通常の理解とは別の、異筋にこそ正解がある戦型もある」と見るか、意見が分かれるところだと思います。

羽生九段の終盤は「羽生マジック」とも言われ、かつてのライバル森下卓九段は、羽生将棋を異筋に特徴があると指摘しています。本局は藤井王将の対応力に軍配が上がりましたが、この七番勝負で、羽生流の異筋の妙手を目にすることは何度もあることでしょう。

第2局は高槻市の「摂津峡花の里温泉 山水館」で行われることになっています。
「大盤解説会」の抽選は昨年末に行われましたが、1500人近い応募があったとのことです。

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