藤井聡太竜王に広瀬章人八段が挑戦する、第35期竜王戦七番勝負が始まっています。
開幕第1局は10月7日(金)・8日(土)に行われました。
広瀬八段の先手番で、矢倉志向の出だしから、角換わり腰掛銀に進みますが、先手は25歩を決めませんでした。この飛車先保留を生かし切れるかというのがテーマだと思います。中継アプリで言及されていた先例も並べてみましたが、いずれも激戦で、本局は先例の課題の解決を目指して組み立てられているのが良くわかります。
仕掛け以降、86歩に継ぎ歩を恐れず同歩と採るなど、広瀬八段の積極的な姿勢が功を奏し、
終始先手が盤上を支配していたと思います。本局のポイントの25桂跳ねもよく働いて藤井竜王の粘りを許しませんでした。
第2局は10月21日(金)・22日(土)に行われました。
相掛かりの出だしから、いつもの角換わり…かと思いきや、後手広瀬八段は角交換せずに、33角。これに先手から角交換して後手の33金型になりました。この形は筋悪なのは間違いないのですが、具体的に咎めることは難しく、桂馬で金を狙っても、そう簡単には押し切れません。とはいえ、本筋とは思いにくいので、藤井竜王から33金型攻略の模範を示されるのではないかと期待した人は多かったと思います。
また、広瀬八段は33金型における定番早繰り銀ではなく腰掛銀を選択しました。
これは広瀬八段の新構想言ってよく、相当研究してきたものと思われます。逆に藤井竜王はまず研究していなかったでしょう。
仕掛け付近に藤井竜王に軽い誤算があり、広瀬八段が指しやすくなりましたが、やはり、異筋の33金型からスタートしているので、プロでさえも局面の勘所をつかむのが難しかったようです。手の選択の難しいところで自然に見える手を選んだのが、どうもよくなかったようで、逆転。先手はとにかく銀の打ち込みを決め手にする組み立てにすればいいため、方針が立てやすくなりました。
感想戦で広瀬八段は「(悪くなってから)もう少し辛抱強く指さないといけなかった」と述べました。苦しい終盤を何度も逆転してきた広瀬八段らしいコメントです。
工夫を凝らした序盤作戦に、最後まで自分から崩れない終盤力が発揮されてくると、藤井竜王といえど防衛まで相当に苦労するものと思われます。
