第70期王座戦五番勝負第4局の感想

10月4日に第70期王座戦五番勝負の第4局が行われました。

対局場の神奈川県秦野市の鶴巻温泉「元湯陣屋」は、タイトル戦の会場としては将棋界では最も古く、何百局とタイトル戦が行われています。升田幸三実力制第四代名人が起こした「陣屋事件」は昭和将棋史において最も有名な出来事かもしれません。
wikipediaを確認してみると、スタジオジブリの宮崎駿監督は、陣屋オーナー家の親戚だそうで、この旅館は「となりのトトロ」他の作品に影響を与えたとのこと。

さて将棋の内容の方は、いつも通り、角換わり腰掛銀に進み、先手豊島九段46角と設置した手に対し、後手永瀬王座は右玉に組み替えました。先手は角の威力が強く、玉も堅くなるのですが、後手も反発力のある形で、持ち駒の角も大きく、なかなか仕掛けの難しい将棋です。
先手は穴熊にまで発展し、後手があまり見ない銀引きをしたタイミングで仕掛けていきました。
形勢は難解で、双方自信はなかったようですが、どちらかというと、この二人の将棋なら、後手を持ちたい感じではないでしょうか。細い攻めをつなぐこともできる二人ですが、やはり持ち味は玉の耐久力だと思います。

ずっと難しい将棋でしたが、129手目は香で銀をはがす手を逃してからは、先手が苦しいようです。正着を指してもまだ難解というところでしたが、実戦の方は香で追った飛車に成りこまれた上、成香で桂をはがす展開で、単純に手に入る駒が銀ではなく桂になりました。つまり、駒割的に得が少なく、しかも入玉を防ぐには向かない駒を取るということになり、差がついたようです。手数は180手を超えましたが、永瀬王座が逃げ切りました。

これで永瀬王座は4期連続の戴冠となりました。
永世称号である名誉王座は、「王座を連続5期もしくは通算10期以上保持した棋士に与えられる」という規定ですので、次の防衛戦は一層注目になるものと思われます。

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