第70期王座戦五番勝負第1局の感想

第70期王座戦五番勝負第1局が8月31日(水)、東京都港区「グランドプリンスホテル新高輪」で行われました。

戦型は角換わりになりました。よくある、同形を外すために玉の微妙な位置取りに工夫を積み重ねる戦型と思われましたが、後手豊島将之九段は6筋の位を取りました。
角換わりの位取りは、どの形にたいしても相当有力なはずですが、なかなか主流にならない印象があります。桂跳ねが消えること、空いた空間を角で狙われやすいこと、角を設置してもボケる可能性があること、などが理由でしょうか。

先手永瀬拓矢王座は、少し手順に工夫して仕掛けました。組み立てとしては前例がありますが、選択肢を増やして後手に考えさせる意味があります。永瀬王座らしい、研究に裏打ちされた局面理解の深さを感じます。

ただ、そこから、豊島九段の反撃が厳しく、ずっと難解ではありましたが、形勢的には後手有利で、そのまま後手が押し切りました。

先手は途中で変化しなくてはならなかったようですが、はっきりとした順は出てこなかったので、先手番としては不満でしょう。後手の作戦が成功した形だと思います。

当代のトップの将棋らしく、解釈の難しい将棋でした。今後も序盤作戦に繊細な工夫がみられると思います。そして、その形勢の均衡が取れた先に、豊島九段のバランス感覚と永瀬王座の粘りがぶつかり合う長手数将棋がみられると思います。

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