お~いお茶杯第63期王位戦七番勝負第1局

挑戦者の豊島将之九段の方に、余りにも選びにくそうな手順が多かったので驚きました。
1手だけなら、長考の末に「奇手・妙手」という手が出るのはわかりますが、テンポよく進めていたので、これは事前研究の結果であるのは間違いないと思います。

もちろん、寄せに一切のゆるみがなかったので、勝利に至ったのは、豊島九段の総合的な力量によるものです。

挑戦者側の序盤の研究が非常に充実していたという点では、今期棋聖戦の第1局にも通じるものがあります。

ただ、棋聖戦では、挑戦者の永瀬拓矢王座があらゆる戦型を網羅的に研究していた上で、あくまでも互角ベースの中に罠を張るという印象だったのに対し、本局の豊島九段は、有力戦型をある程度絞った上で、しらみ潰し的に、AIの最善手順を用意していたように見うけられました。そこまでしないと藤井聡太王位に勝つのは難しいということですが、本当になりふり構わないというか、鬼気迫るものを感じます。

今期名人戦とも傾向が違うと思います。名人戦では、渡辺明名人の準備が斎藤慎太郎八段を上回っていたのは明らかですが、それにしても、決着に直結するほどの差ではなく、渡辺名人がじわじわ差を広げていった印象でした。

誰でも強豪ソフトで研究できる時代、ここから、どんな勝負が展開され、他の棋士、ひいてはアマチュア棋客にまで、どのような影響を与えるのか、興味は尽きません。

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